「修正前と修正後のExcelファイル、どこが変わったのか確かめたい」——実務で頻繁に発生する割に、Excelには「2つのファイルを比較する」ボタンがありません(一部エディションを除く。後述)。
この記事では、追加費用なしでできる4つの方法を、手軽な順に紹介します。先に結論の早見表から。
早見表:どの方法を選ぶべきか
| 方法 | 向いている場面 | 弱点 |
|---|---|---|
| ① 並べて比較(目視) | 数十行までの小さな表を1回だけ確認 | 見落としが起きる |
| ② 数式・条件付き書式 | 同じレイアウトの表の値チェック | 行や列がずれると使えない |
| ③ Spreadsheet Compare | Microsoft純正がよい・書式の違いも見たい | 使えるOffice エディションが限られる |
| ④ 専用ツール(方眼Diff など) | 行や列のずれがある・繰り返し行う・大きな表 | ツールの導入が必要 |
方法①:Excelの「並べて比較」で目視チェック
Excel標準の機能で、2つのブックを上下に並べて同時にスクロールできます。
- 比較したい2つのブックを両方開く
- リボンの「表示」タブ →「並べて比較」をクリック
- 「同時にスクロール」が有効になっていることを確認し、上から目で見比べる
向いているのは、数十行程度の表を1回だけ確認する場面です。準備ゼロで始められるのが最大の利点ですが、差分の検出を人間の目に頼るため、行数が増えるほど見落としのリスクが上がります。「目視で全部見たはずなのに、あとから違いが見つかった」を避けたい場面では、以降の方法を使ってください。
方法②:数式・条件付き書式で違うセルをあぶり出す
「同じ位置のセル同士が等しいか」を数式で判定する方法です。代表的なやり方は2つあります。
空きシートに判定式を敷き詰める:新しいシートの A1 に次のような式を入れ、表の範囲までコピーします。
=IF(Sheet1!A1=Sheet2!A1, "", "差分")
条件付き書式で元の表に色を付ける:比較したい範囲を選択 →「ホーム」→「条件付き書式」→「新しいルール」→「数式を使用して」で、たとえば =A1<>Sheet2!A1 を指定し、塗りつぶし色を設定します。
向いているのは、レイアウトが完全に同じ2つの表の値だけを突き合わせる場面です。逆に致命的な弱点は、行や列が1つでも挿入・削除されていると、それ以降の行がすべて「差分」と判定されてしまうこと。この方法は「同じ位置のセル同士」しか比べられないためで、レイアウトが変わった表の比較には向きません。また、別ブック間の参照式は管理が煩雑になりがちです。
条件付き書式での色付けの具体的な手順とコツは、Excelのシート同士を比較して差分に色付けする方法で詳しく解説しています。
方法③:Microsoft純正「Spreadsheet Compare」
Microsoft が提供する比較専用ツールで、2つのブックの値・数式・書式などの違いをセル単位で色分け表示できます。書式(塗りつぶしや表示形式)の違いまで検出できるのは、この記事で紹介する中でこのツールだけです。
ただし大きな制約があります。Spreadsheet Compare が付属するのは Office Professional Plus 2013/2016/2019 と Microsoft 365 Apps for enterprise のみです(Microsoft 公式の説明)。個人向けの Microsoft 365 Personal や Office Home & Business には含まれておらず、単体での配布もありません。つまり、主に企業の一括契約でOfficeを使っている環境向けの選択肢です。
お使いの環境に入っているかは、スタートメニューで「Spreadsheet Compare」を検索すると確認できます。使い方と限界の詳細はMicrosoft Spreadsheet Compare の使い方——入手条件と限界で解説しています。
方法④:無料の専用ツールを使う(方眼Diff)
比較を繰り返し行うなら、専用ツールがもっとも手間がかかりません。ここでは手前味噌ですが、筆者が開発している無償ツール「方眼Diff」を例に説明します。
使い方は、2つのファイルを選んで「実行」を押すだけです。すると:
- 差分セルを着色したブック(変更=黄・片方にしかない行や列=赤・移動=水色)と、差分件数をまとめたレポートが自動で開きます。元のファイルは変更されません
- 行や列の挿入・削除・移動があっても、対応関係を内容から自動で推定して突き合わせます。方法②の弱点だった「1行ずれると全部差分」が起きません。キー列の指定や事前の並べ替えも不要です
- シート同士だけでなく、ブック同士・フォルダ同士の一括比較もできます
- .xlsx / .xlsm / .xls に対応し、インストール不要(zipを展開するだけ)・無償です
一方で、方眼Diff が比較するのはセルの値・数式・コメントのみで、それ以外——書式・図形・マクロなど——は対象外です。この範囲を超える比較が必要な場合は、他のツールで補えます。書式(色・罫線・表示形式)の違いは方法③の Spreadsheet Compare が検出できます。また有償ツールには、VBA マクロや定義された名前の違い、.xlsb 形式のファイルまで扱えるもの(DiffEngineX など)もあります。方眼Diff の機能の全体像は機能の紹介にまとめています。
まとめ:使い分けの指針
- 1回きり・小さな表 → ①並べて比較で十分です
- レイアウトが同一で、値だけ確かめたい → ②数式・条件付き書式
- 書式の違いまで見たい & Professional Plus 系の Office がある → ③Spreadsheet Compare
- 行や列のずれがある・表が大きい・何度も行う → ④専用ツール(方眼Diff 等)
よくある質問
Q. 古い .xls 形式のファイルでも比較できますか? 方眼Diff は .xls にも対応しており、.xlsx と .xls のように形式が異なるファイル同士も比較できます。
Q. Google スプレッドシートを比較したいのですが。 方眼Diff は Google スプレッドシートには対応していません。「ファイル」→「ダウンロード」で Excel 形式(.xlsx)に落としてから比較してください。
Q. パスワードで保護されたブックは? 方眼Diff はパスワードを指定して開いて比較できます。詳しくは FAQ を参照してください。